不思議の国のアリス2「アリスが自分で想像した不思議の国について説明する」

2017年6月18日

アリスは、絵の無い本に興味が持てないから勉強したくないようなことをお姉さんに言いました。

 

My dear child,

お姉さん「困った子ね。」

通常は「親愛なる子」のような良いイメージで使いますが、このセリフは皮肉の表現です。反対の意味の「困った子ね」のようなニュアンスになります。

例えば、机に向かって勉強しているふりをしてゲームをしている子供を見て「熱心に偉いね」と言ったら、褒めているように聞こえて、実は遠回しで非難しています。

 

 

There are a great many good books in this world without pictures.

お姉さん「絵が無くても、この世界にはとてもたくさんの良い本があるわ。」

booksは複数形なのに冠詞がついていることに違和感を持った人、ナイスです。通常、複数形にはa、anはつけませんが、これは特殊な例です。

「わずかの~」を表現するのに a few や a little を使うことがあるのを覚えていますでしょうか。
⇒「形容詞の使い方

There are a few apples. 「リンゴがほんの少ししかない。」

上記文は複数形の名詞の前にaが置かれています。「少し」の表現にaを使うなら、「多い」の表現にもaがあってもいいはず。そこで、a manyを使って以下の文が作れます。

There are a many apples. 「多くのリンゴがある」

さらに、めっちゃ多いことを表現するためにgreatを追加して以下の文にします。

There are a great many apples. 「とても多くのリンゴがある」

「a little」をワンセットの形容詞と考えるのと同様に、「a great may」もワンセットの形容詞「とても多くの~」と考えましょう。

 

 

In this world, perhaps, but in my world, the books would be nothing but pictures.

アリス「たぶん、この世界ではね、でも私の世界では、本は絵ばかりでしょうね。」

助動詞のwillを使って予想しています。

過去形のwouldにすることで控えめな予想のニュアンスになります。なぜ、控えめになるのかというと、現在と過去には時間的な距離があります。willとwouldに時間的な距離は関係ありませんが、過去形にして距離感を演出するイメージです。「距離がある」⇒「確信度が下がる」
⇒「助動詞willとは

このセリフのnothing but~は「~ばかり」という意味です。

 

 

Your world ? Huh? What a nonsense.

お姉さん「あなたの世界?は?何てばかげてるの。」

Huh?は驚いたり、聞き返したり、相手の意見をけなしたり、色々な意味で使われます。ここでは相手の意見をけなすような笑いです。

What a nonsenseは感嘆文です。主語と動詞が省略されています。
⇒「感嘆文とは

 

 

Nonsense?

アリス「ばかげてる?」

お姉さんのいったことを聞き返しています。

 

Now, once more.

お姉さん「では、もう一度」

Nowは「さて」、「では」などの意味で話を切り替えるときに、文頭に置くことがあります。

once moreは「もう一度」という意味です。

 

 

From the beginning.

お姉さん「最初から」

Fromは「~から」を意味する前置詞です。

 

That’s it, Dinah.

アリス「それだ、ダイナ」

That’s itはYesの強調として色々な場面で使われます。このセリフは相手の行動について「それそれ」「それだ」と賛同の意思表示をするときの表現です。ちなみに、This is itという人もいます。

ダイナはアリスの飼い猫の名前です。自分のアイディアをダイナに話そうと思って呼んだのでしょう。

 

 

If I had a world of my own everything would be nonsense, nothing would be what it is, because everything would be what it isn’t, and contrariwise, what it is, it wouldn’t be, and what it wouldn’t be, it would.

アリス「もし、私がすべて馬鹿げている自分の世界を持っていたら、普通のものは何もないでしょう。理由はすべてが普通じゃないから。反対に、普通、それは無いでしょう、普通じゃない、それはあるでしょう。」

ここでアリスが論じてきました。長いセリフですが丁寧に確認しましょう。

従位接続詞のif(もし~なら)を使った副詞節が主節を補足しています。
⇒「従位接続詞ifとは

If I had a world of my own everything would be nonsense, nothingwould bewhat it is

if節の中では関係副詞のwhereを使った形容詞節がworldを修飾しています。ただし、この文のwhereは省略されています。
⇒「関係副詞whereとは

If Ihada world of my owneverything would be nonsense,

of my ownは「自分の」という意味です。

主節にあるwhat it isは関係代名詞のwhatで「現実」とか「ありのまま」という意味です。筆者は「普通」と訳しました。whatは先行詞のいらない凄いやつです。
⇒「関係代名詞のwhat

nothingは不定代名詞で「何も~ない」という意味です。
⇒「不定代名詞~body、~one、~thing

主節の後ろでは、従位接続詞のbecauseを使った副詞節が主節を補足しています。
⇒「従位接続詞becauseとは

because節の中では等位接続詞のandを使って以下の3つの文を繋いでいます。
⇒「等位接続詞andとは

(A)Everything would be what it isn’t.「すべてが普通じゃないでしょう。」

(B)Contrariwise, what it is, it wouldn’t be. 「反対に、普通、それは無いでしょう。」

(C)What it wouldn’t be, it would.「普通じゃない、それはあるでしょう。」

つまり普通じゃないのが普通の不思議な世界ということです。アリスは想像豊かな人ですね。

 

 

You see?

アリス「わかった?」

疑問文の形をしていませんが、イントネーションが上がっているので疑問文になります。

seeは「見る」という以外にも「わかった」という意味で使われる場合があります。例えば、相手の話を聞いて理解したときに言う「I see.(わかった)」などがあります。

猫が首を横に振ったので、アリスの説明は分からなかったようです。