TOEIC 短文穴埋め問題(Part 5)の特徴と着目ポイント

2017年9月26日

本記事ではTOEICのリーディングセッション「Part 5 短文穴埋め問題」について説明します。

Part 4までで音声を聴いて回答する時間帯が終了し、Part 5からは英文を読んで回答する時間帯に入ります。休憩無しでそのままPart 5に入ります。

Part 1 から Part 4までは音声を聴きながら回答するので、受験者全員の回答の進捗具合はほぼ同じですが、Part 5 から先は音声が流れるのを待つ必要は無いので、英文を速く読める人はどんどん先に進むことができます。

Part 5 から Part 7 は75分間で100問の問題に回答することになります。単純計算すると、1問あたり45秒(=4500秒÷100問)で回答です。75分と聞くと時間に余裕があるように感じますが、ゆっくり丁寧に英文を読んでいると半分くらい解いたところで残り10分なんてこともあります。

よって、Part 5から先は、英文を速く読みながら、意味が曖昧でも文の構造から一目で回答できる問題はすぐに答えるような素早さが重要になってきます。

走りながら本を読むピット

短文穴埋め問題の仕様

短文穴埋め問題は、英文の一箇所がハイフン(——-)になっていて、そこに入る単語またはイディオムを4つの選択肢の中から選ぶ問題です。

Pit’s house is located ——- Apple Street near the river.

(A)to
(B)among
(C)between
(D)on

上記問題を解いてみましょう。ハイフンの前にある is located は「位置している」という意味の動詞の受動態です。ハイフンの後ろあるApple Streetは「アップル通り」という名詞句です。この前後の単語から、ハイフンには「~に面している」の意味を持つ前置詞が入るのが予想できます。

前置詞onは道路沿い、線路沿いなどの表現でも使われるので、(D)のonを入れるのが正解になります。
⇒「前置詞onとは

問題数は全部で30問。1問に1文が掲載されています。

橋の向こう側にピットの家がある

短文穴埋め問題の種類

短文穴埋め問題は、大きく分けると「文の構造から答えを導く問題」と「文意から答えを導く問題」の2つです。どちらの問題かをいち早く把握できれば回答時間の節約につながります。

まずは、どんな問題がどのくらい出るのかを確認しましょう。下表は公式問題集3冊(テスト6回分)を集計した結果です。

Noタイプ回答方法出題回数
1構造単語の変化形、適切な品詞を選択50回
2文意副詞の中から選択17回
3文意名詞の中から選択14回
4文意動詞の中から選択13回
5文意形容詞の中から選択13回
6構造単語の変化形、適切な動詞の形を選択13回
7構造単語の変化形、適切な人称代名詞を選択する9回
8文意前置詞の中から選択9回
9文意イディオムの中から選択5回
10構造副詞の中から選択4回
11文意前置詞、接続詞の中から選択5回
12文意副詞、前置詞の中から選択5回
13文意接続詞の中から選択4回
14文意副詞、接続詞の中から選択4回
15文意副詞、前置詞、接続詞の中から選択4回
16文意名詞、形容詞の中から選択1回
17文意形容詞、副詞の中から選択1回
18文意形容詞、副詞、接続詞の中から選択1回
19文意形容詞、副詞、前置詞の中から選択1回
20文意形容詞、代名詞、疑問詞の中から選択1回
21文意副詞、接続詞、イディオムの中から選択1回
22文意形容詞、前置詞の中から選択1回
23文意形容詞、接続詞の中から選択1回
24文意疑問代名詞の中から選択1回
25文意関係副詞、関係代名詞、代名詞の中から選択1回
26構造単語の変化形、適切な副詞の形(比較級、最上級)を選択する1回
合計180回

 

上記結果の内容について以下に説明します。

1番多かったのは、1つの単語の派生語の中から空欄に入れるのに適した品詞のものを選ぶ問題です。単語の語尾だけが違う選択肢が並んでいるのが特徴です。4問に1つはこの問題が出題されます。以下の英文を読んで下さい。

Taro went home, leaving the ——- on the desk.

(A)illustrate
(B)illustration
(C)illustrative
(D)illustrating

illustrateは動詞「~を説明する」、illustrationは名詞「イラスト」、illustrativeは形容詞「実例となる」、illustratingは現在分詞です。

上記文では、ハイフンの前には冠詞のthe、ハイフンの後ろは on the deskという前置詞句があります。よって、ハイフンには名詞が入ると予想できるので(B)が正解と分かります。

このような「文の構造から答えを導く問題」は、英文の意味をすべて理解しなくても答えを導けるので時間の節約につながります。

 

2番目から5番目は、選択肢の品詞の種類が1つで、英文と単語の意味を把握して空欄に入れるのに適した単語を選ぶ問題です。以下の英文を読んで下さい。

Pit couldn’t follow the ——- issues.

(A)passive
(B)polite
(C)surrounding
(D)relative

上記の選択肢はすべて形容詞のため、文の構造や品詞の違いだけでは何が正解か分かりません。そこで、英文と選択肢の意味を把握します。

passiveは「受け身の」、politeは「礼儀正しい」、surroundingは「周囲の」、relativeは「相対的な」という意味です。文の意味は「ピットは~についていけなかった」。issuesを修飾して文意に合う単語はsurroundingです。よって(C)「ピットは周囲の話題についていけなかった」が正解です。

このように、「文意から答えを導く問題」は、英文と選択肢の意味を把握して答えを導きます。公式問題集を使った勉強では選択肢の正解以外の単語も一緒に覚えましょう。

 

6番目は、適切な動詞の形(現在形、過去形、完了形、進行形など)を選択する問題です。以下の英文を読んで下さい。

Pit ——- tennis since 10 years ago.

(A)will like
(B)liked
(C)has liked
(D)are liking

選択肢にはlikeの未来、過去形、現在完了形、現在進行形が列挙されているので、文の構造からどの形が適切かを判断します。英文を読むとsince「~から」があるので完了形を使うのが適切であることが分かります。よって、正解は(C)です。

 

7番目は、適切な人称代名詞(主格、所有格、目的格など)を選択する問題です。

I looked up the phone book so hard to contact ——- by evening.

(A)He
(B)his
(C)him
(D)himself

上記英文のハイフンの前には動詞のcontact、ハイフンの後ろは前置詞のbyがあります。この構造からハイフンには動詞の目的語が入ることが予想できます。選択肢には「彼」の人称代名詞があるので、その中から目的格を選択します。英文の意味をあまり理解せずに答えることができました。
⇒「人称代名詞とは

 

8番目以降は、「2番目から5番目」と同じように文意に合う単語を選択する問題がほとんどですが、選択肢の品詞が複数種類になるので注意です。

Taro will come to the office two hours earlier ——- usual tomorrow.

(A)than
(B)on
(C)when
(D)if

選択肢に前置詞と接続詞が混ざっています。英文を読むとハイフンの後ろは名詞なので前置詞が入ることが予想できます。そして、ハイフンの前に比較級のearlierがあるので、ハイフンにはthanが入ることが分かります。

このように、選択肢の品詞が複数種類ある問題は混乱しやすいという欠点もありますが、場合によっては答えを絞り込みやすくなるという利点もあります。

 

10番目は、選択肢は副詞で、文の構造から答えを導く問題です。離れている2つの語句がセットで意味をなすものを相関語句といいますが、片方の語句が英文の中に存在し、もう片方の単語を選択肢の中から選択します。たまにしか出題されませんが、すぐに答えがわかるラッキー問題です。以下の英文を読んで下さい。

I ——- like oranges nor watermelons.

(A)both
(B)either
(C)neither
(D)nearly

neither A nor B「どちらも~ない」という相関語句を知っていれば、英文の意味を把握せずに正解(C)が分かります。

問題の解き方

短文穴埋め問題は「文の構造から答えを導く問題」と「文意から答えを導く問題」のどちらの問題かを見分けるのが効率的に問題を解いていくのに重要になります。そこで、まずは問題を読む前に選択肢を見ます。そして、選択肢の単語が下表のようになっていないかを確かめます。

選択肢の単語
単語の語尾だけが異なる(A)illustrate
(B)illustration
(C)illustrative
(D)illustrating
1つの動詞の未来、現在、過去、完了形、進行形(A)will like
(B)liked
(C)has liked
(D)are liking
人称代名詞(A)He
(B)his
(C)him
(D)himself

 

上記表のようになっている場合は「文の構造から答えを導く問題」と考えて、ハイフンの前後からさっと答えを導き出せるならすぐに回答してしまいます。それ以外の場合は、英文を読んで意味を把握しながら解いていきましょう。

まとめ

短文穴埋め問題は、英文の一箇所がハイフン(——-)になっていて、そこに入る単語またはイディオムを4つの選択肢の中から選ぶ問題です。

問題の種類は大きく分けると「文の構造から答えを導く問題」と「文意から答えを導く問題」の2つです。「文の構造から答えを導く問題」は、英文の意味をすべて理解しなくても答えを導けるので時間の節約につながります。

リーディングセクションはスピードが重要です。問題を解くときは、先に選択肢の単語を見て、問題の種類を把握しましょう。