前置詞for、duringの使い方。方向、目的、期間、範囲、原因を表現する。
この記事では前置詞のfor、duringについて説明します。前置詞とは何かについては次の記事を参照して下さい。
⇒「前置詞とは」
for(方向)
forの基本イメージは方向「~に向かって」です。
Pit and Taro departed for Aomori.
「ピットと太郎は青森に向けて出発した。」
toは向かう方向と対象の到着点をさしています。一方、forは向かう方向と対象を心理的にさしているだけなので、到着するかどうかはあまり重要ではないという違いがあります。例えば、
(A)Taro departed to Tokyo. = Taro went to Tokyo.
(B)Taro departed for Tokyo. = Taro left for Tokyo.
この2つの文はどちらも「太郎は東京へ出発した」と訳されますが、A文は「東京という目的地へ行った(到着していなければならない)」、B文は「東京という目的地のために去った(到着するかどうかはわからない)」という意味になります。
for(目的)
ものに向かっているイメージから派生して、目的「~のために」を表現するのに使われます。forの後ろには、手に入れたい、実現したい目的が置かれます。
Pit went to a vegetable store for apples.
「ピットはリンゴのために(リンゴを求めて)八百屋に行った。」
onとforの両方とも「〜のために」と訳すことがありますが、onは行動の追求・途中を表現します。なので、目的のonの後ろには必ず「追求できる・途中の行動名」が置かれ、on applesのような手に入れたい物を置くことはできません。
Taro went on a walk.
「太郎は散歩に行った。」
また、利害を与える目的の相手をforの後ろに置いて「~のために」も表現できます。
Pit bought a carrot for the dog.
「ピットは犬のために人参を買った。」
for(賛成)
ものに向かっているイメージから派生して「賛成」を表現するのに使われます。
Pit is for using the dog as a guard.
「ピットは犬を見張り役として使うことに賛成である。」
ちなみに、for(賛成)の反対はagainstです。
Pit is against using the dog as a guard.
「ピットは犬を見張り役として使うことに反対である。」
Are you for or against?
「あなたは賛成、それとも、反対?」
forを使った賛成の文は日常生活でもたまに目にします。agreeよりも軽いイメージで使えるので覚えておきましょう。
for(対象)
ものに向かっているイメージから派生して、対象「~に対して」を表現するのに使われます。
Pit has excellent eyes for vegetables.
「ピットは野菜がわかる。」
for(交換)
ものに向かっているイメージから派生して、ものを交換する表現で使うことができます。支払いの表現でよく使います。
Pit exchanged bananas for dogs.
「ピットはバナナを犬と交換した。」
Pit bought apples for 100 yen.
「ピットは犬を100円で買った。」
価格の表現ではatも使えます。
⇒「atを価格の表現で使う」
for(代理)
ものに向かっているイメージから派生して、「代理」の意味で使うことができます。
Pit did a salesclerk for the monkey.
「ピットは猿の代わりに店番をした。」
for(範囲)
ものに向かっているイメージが、限られた範囲を見ているイメージへと派生し、範囲を表現するのに使われます。
There are too many banana for a vegetable store.
「八百屋にしてはバナナがやたら多い。」
単にバナナが多いのではなく、八百屋という範囲の中ではバナナが多いということを表現しています。
期間や区間も表現できます。
There are no apples in the store for three weeks.
「この店には3週間リンゴが無い。」
The monkey walked for half a mile with bananas from the warehouse.
「猿はバナナを持って倉庫から半マイル歩いてきた。」
for(原因)
forは等位接続詞として文と文をつなぎ、原因、理由「AというのもBだから」を表現するのに使うことがありますが、前置詞も原因を表現するのに使えます。
⇒「等位接続詞forとは」
Pit fainted for the cuteness of the dog’s eyes.
「ピットは犬の目の可愛さによって気絶した。」
for(不定詞の意味上の主語)
forは不定詞の意味上の主語としても使われます。
⇒「不定詞とは」
It is easy for you to sell all this banana.
「このバナナをすべて売りさばくのはあなたにとって簡単だ。」
ちなみに、forは等位接続詞としても使うことができます。
⇒「等位接続詞forとは」
during(期間)
duringは期間を表現するのに特化した前置詞です。forも期間を表現するのに使いますが、ニュアンスに違いがあります。
forは「事象の継続期間」を表現するのに使います。一方、duringは「事象がどの期間中に起きたのか」を表現するのに使います。期間中に事象がずっと継続しているのか、していないのかは文脈次第です。
Pit went to a vegetable festival during the summer vacation.
「ピットは夏休み中に野菜祭に行った。」
Pit studied English every day during the summer vacation.
「ピットは夏休み中に毎日英語を勉強した。」
duringは比較的長い期間を表現するのに使うイメージがありますが、午前中や仕事中など短い期間を表現するのにも使えます。
Pit went to a vegetable store during the morning.
「ピットは午前中に八百屋に行った。」
ちなみに、期間中に事象がずっと継続しているのを明確に表現するにはthroughを使います。
Pit was in the vegetable store through the morning.
「ピットは午前中ずっと八百屋にいた。」
まとめ
以上、前置詞のforとduringについて説明しました。下表はまとめです。
前置詞 | 説明 |
---|---|
for 方向 | ある方向を向いているイメージから様々な意味で使われる。派生イメージは目的、賛成、対象、交換、代理、範囲、原因。不定詞の意味上の主語にも使われる。 |
during 期間 | 期間を表現するのに特化した前置詞。forとのニュアンスの違いに注意。forは「事象の継続期間」、duringは「事象がどの期間中に起きたのか」を表現する。 |