不定詞の形容詞用法。「~するための」という意味で名詞を修飾する。

2016年12月7日

不定詞とは、動詞を名詞、形容詞、副詞として使うために変化させた語のことをいいます。本記事では不定詞の形容詞用法について説明します。

以降の説明を読む前に、前回記事の不定詞の名詞用法について読んでおくと分かりやすいと思います。⇒「前回記事

やるべき仕事」「助けてくれる犬」など、「~するための」という意味で名詞を修飾したいときがあります。そんなときに動詞を不定詞に変えて使います。

 

不定詞の形容詞用法

 

現在分詞とどう違うの?

現在分詞は修飾先の名詞を主語にして、「~している[名詞]」という意味になります。主語が行動している様子を感じることができます。

I saw a dog running hard. 「私は熱心に走る犬を見た。」

一方、不定詞の形容詞用法は修飾先の名詞を主語または目的語にして、「~するための[名詞]」という意味になります。主語が行動している様子は感じません。

I have a dog to make me happy. 「私は私を幸せにする犬を持っています。」

また、現在分詞は「~ing」の1語のときは名詞の前に置きますが、不定詞は必ず名詞の後ろに置きます。

不定詞の形容詞用法

不定詞を使って形容詞句を作る

名詞用法と同じように、普通の文を不定詞を使った形容詞句に変えることができます。実際にやってみましょう。以下の英文を読んで下さい。

The dog makes me happy. 「犬は私を幸せにする。」

主語を取っ払い、動詞を「to 動詞の原形」にするだけです。そして、変更後の動詞、目的語、補語のカタマリを1つの形容詞として使います。

不定詞の形容詞用法

 

形容詞用法は修飾先の名詞が「不定詞の主語になる場合」、「目的語になる場合」、「主語にも目的語にもならない場合」があります。それぞれ作ってみましょう。

①修飾先が主語になる

以下の英文を読んで下さい。

(A)I have a dog. 「私は犬を持っている」

(B)The dog makes me happy. 「犬は私を幸せにする。」

Bを不定詞を使った形容詞句に変えて、Aの「a dog」を修飾してみましょう。Bを形容詞句にすると以下になります。

to make me happy

上記文を「a dog」の後ろに配置して完成です。

I have a dog to make me happy. 「私は私を幸せにする犬を持っています。」

修飾先の「a dog」が形容詞句の主語になっているのが分かります。

ピットは犬を飼っている

②修飾先が目的語になる

以下の英文を読んで下さい。

(A)I have a dog. 「私は犬を持っている。」

(B)I play with the dog.「私は犬と一緒に遊ぶ。」

Aの「a dog」をBの目的語として修飾してみましょう。まず、Bを形容詞句にすると以下になります。

to play with

Bの目的語「the dog」を削除するのがポイントです。上記の文を「a dog」の後ろに配置して完成です。

I have a dog to play with. 「私は一緒に遊ぶ犬を持っています。」

文末に前置詞がポツンと残されて不自然な感じがしますが、修飾先が目的語になる場合は前置詞が後ろに残ってもいいというルールなので気にしなくても大丈夫です。

犬と遊ぶピット

③修飾先が主語でも目的語でもない

混乱しそうになりますが、修飾先の名詞が主語にも目的語にもならない場合があります。つまり、普通の形容詞のように、単純に修飾先の名詞について説明しているということです。以下の英文を読んで下さい。

(A)Dogs have character. 「犬は特性を持っている。」

(B)Dogs wag their tail.  「犬は尻尾を振る。」

Aの「character」をBで修飾してみましょう。まず、Bを形容詞句にすると以下になります。

to wag their tail

上記の文を「character」の後ろに配置すると以下になります。

Dogs have character to wag their tail. 「犬は尻尾を振る特性を持っています。」

犬が尻尾を振る

 

このように、修飾先の名詞が主語にも目的語にもならない場合があることを考慮すると、不定詞の形容詞用法の文を読むときは、修飾先の名詞が主語なのか、目的語なのかを深く考えすぎずに、不定詞が名詞を修飾している感覚を持ちながら自然な意味になるように解釈するのがお勧めです。

なお、日常会話をするときに、頭の中でBの文を不定詞に変えて、Aの文にくっつけてから話すわけではありません。説明した手順は不定詞を理解するためのものと考えて下さい。普段はAを言ったあと、それを補足するように不定詞の文を続けます。

形容詞用法がよく使われる状況

不定詞の形容詞用法は、修飾先の名詞が不定代名詞の「~body」、「~one」、「~thing」のときに使われることが多いです。⇒「不定代名詞とは

Could you lend me anythingto write with?

「何か書くものを貸してもらえますか?」

Could you give me somethingto drink?

「何か飲むものをもらえますか?」

また、「There is~」や「There are~」の文で「~するためのものがある」といった表現でも良く使われます。

Is there someone to help me?

「誰か助けてくれませんか?」

There is a lot of work to do.

「やるべき仕事がたくさんある。」