比較級の使い方。「AよりもB」という比較文を作る。

2017年6月3日

本記事では比較級を使った比較の文の作り方について説明します。比較級とは、人と人(または物と物)を比較して優劣を表現するときの、着眼点となる形容詞または副詞の変化形のことです。(例:tallの比較級はtaller)

私たちは物を比べるのが好きです。「左のリンゴは右のリンゴより大きい。」のように2つのものを比べたり、「このリンゴは世界で一番大きい。」など不特定多数のものと比べたりします。

比較

 

SMAPの名曲「世界に一つだけの花」の歌詞に以下のような言葉があります。人生について考えてしまう歌詞ですね。

それなのに僕ら人間はどうしてこうも比べたがる?一人一人違うのにその中で一番になりたがる。

ということで、比較級について学んでいきましょう。

2つのものを比較する

比較の着眼点は、高さ、速さ、大きさなど沢山ありますが、それらの単語はすべて形容詞または副詞です。ピットと太郎の身長を比較してみましょう。まず、以下の2つの文を用意します。

(A)Pit is tall. 「ピットは背が高い。」

(B)Taro is tall. 「太郎は背が高い。」

「AよりB」を表現するためにthanを使ってAとBをくっつけます。

Pit is tall than Taro is tall.

共通しているis tallを省略して以下の文にします。

Pit is tall than Taro.

着眼点の形容詞tallを比較級tallerにして完成です。

Pit is tallerthan Taro. 「ピットは太郎より背が高い。」

Pit is taller than Taro.

並べ方で内容が変わる

以下の2つの文を読んで下さい。

(A)Pit is taller than Taro. 「ピットは太郎より背が高い。」

(B)Taro is shorter than Pit. 「太郎はピットより背が低い。」

2つは同じことを言っていますが、比較する基準が異なるので注意が必要です。比較の文では後ろ側に置いたほうが基準になります

例えば、Aの文は太郎を基準に比較する文です。太郎の身長にはおおよその見当がついていて、それと比べたピットの身長を表現しています。つまり、聞き手はピットの身長を知らないということです。

一方、Bの文はピットを基準に比較する文です。ピットの身長にはおおよその見当がついていて、それと比べた太郎の身長を表現しています。つまり、聞き手は太郎の身長を知らないということです。

I'm taller than you.

比較級に変換するルール

形容詞または副詞を比較級にするときの基本ルールは以下になります。

単語の語尾ルール
通常末尾にerを付ける。
tall⇒taller
e末尾にrを付ける。
late⇒later
子音+y「y」を「i」に変えて、末尾に「er」を付ける。
busy⇒busier
1母音+子音語尾の子音字を2つにして、末尾に「er」を付ける。
big⇒bigger

 

以下の単語の場合は、スペルを変えずに頭にmoreをつけます。

単語例文
a~Pit is more angry than Taro.
「ピットは太郎よりも怒っている。」
~fulPit is more cheerful than Taro.
「ピットは太郎よりも陽気だ。」
~estPit is more honest than Taro.
「ピットは太郎よりも正直者だ。」
~ishPit is more foolish than Taro.
「ピットは太郎よりも愚かだ。」
~ousApple is more precious than oranges.
「リンゴはオレンジより貴重だ。」
~lessPit is more careless than Taro.
「ピットは太郎よりもそそっかしい。」
~lyApple is more costly than oranges.
「リンゴはオレンジより高くつく。」
~edPit is more surprised than Taro.
「ピットは太郎よりも驚いている。」
~ingPit is more amusing than Taro.
「ピットは太郎よりも面白い。」
3音節以上Pit is more beautiful than Taro.
「ピットは太郎よりも美しい。」

 

音節とは、1つの音と判断する単位のことをいいます。母音(a, i, u, e, o)が中心になって1音節が作られるので、母音の数を数えると音節数が分かります。

例えば、beautifulは「beau・ti・ful」の3音節になります。日本人は音節を分けるのが苦手な人が多いです。単語と音節数をセットで覚えてもそのうち忘れるだけなので、6字以上になったら3音節になる可能性が高いことを認識しながら、気になる単語を辞書でチェックして発音しまくりましょう。

さらに、独自のスペル変化をする単語があります。

単語比較級
bad(悪い)
badly(悪く)
ill(病気で)
worse
Pit's temper is worse than Taro.
「ピットの機嫌は太郎よりも悪い。」
good(良い)
well(良く)
better
Pit's temper is better than Taro..
「ピットの機嫌は太郎よりも良い。」
little(少し)less
There is less apple juice than orange juice.
「オレンジジュースよりリンゴジュースのほうが少ない。」
many(たくさんの:数)
much(たくさんの:量)
more
There are more apples than oranges.
「オレンジよりリンゴのほうが多い。」

 

なんだかルールが沢山ありすぎて混乱しますが、基本ルールと3音節以上はmoreがつくことを覚えておき、あとは英文を読みまくって経験を積みながら血肉にしていきましょう。

おー!

具体的にどのくらい違うのかを説明する

2つのものを比較したときに具体的にどのくらい違いがあるのかを表現したいときがあります。以下の英文を読んで下さい。

Pit is taller than Taro. 「ピットは太郎より背が高い。」

ピットが太郎より背が高いことが分かりましたが、ちょっとだけなのか、かなり違うのか、もっと細かく考えて1センチだけ、はたまた1ミリなど、違いを具体的に表現したい。そんなときは比較級の直前に程度を表す副詞や値を置きます。

程度例文
少し
a bit
Pit is a bit taller than Taro.
ピットは太郎より少し背が高い。
少し
a little
Pit is a little taller than Taro.
ピットは太郎より少し背が高い。
だいぶ
a lot
Pit is a lot taller than Taro.
ピットは太郎よりだいぶ背が高い。
はるかに
much
Pit is much taller than Taro.
ピットは太郎よりはるかに背が高い。
はるかに
far
Pit is far taller than Taro.
ピットは太郎よりはるかに背が高い。
よりいっそう
even
Pit is even taller than Taro.
ピットは太郎よりいっそう背が高い。
よりいっそう
still
Pit is still taller than Taro.
ピットは太郎よりいっそう背が高い。
1インチPit is one inch taller than Taro.
ピットは太郎より1インチ(2.54センチ)背が高い。

似ている副詞の程度の違いは以下になります。

a bit と a little
a bitは「少し(しかない)」と否定的なニュアンスを含み、a littleは「少し(ある)」と肯定的なニュアンスを含みます。そのため意味的にはa bit = a littleですが、感覚的にはa bit< a littleになります。

 

a lot と far
a lotは数・量が大きい(farと比較して想定の範囲内)、farは距離的に遠い(想像を超えている)というところからきているため、a lot < farの感覚になります。

 

still と even
evenやstillは、何か前提となるものがあって、そのものよりも〜という時に使われます。この2つは意味的にも感覚的にもiイコールの関係ですが、evenの方がよく使われます(stillの方が硬い印象です)。

Taro is 150cm tall. But Ziro is even/still taller than Taro.

そして、evenとstillは太郎も背が高いニュアンスが含まれ、背の高い太郎よりもさらにピットの方が高いという感覚になります。