物語を読む前に、英文の読み方についておさらいしておきましょう。

2017年7月6日

「英単語や英文法を勉強したけど、英会話を聞いても何を言っているのか聞き取れない。」

 

このような悩みを持っている日本人は多いです。原因の1つは、日本語と文の構造が大きく違う英語を、日本語を通して理解しようとするからです。例えば、以下の英文を読んで下さい。

I saw an office worker who ran hastily while eating bread.

日本語に訳すと以下になります。

私はパンを食べながら急いで走るサラリーマンを見た。

 

主語以外の②~⑤は英語とは全く逆の順番になることが分かります。このように、英語では「修飾する側」を「修飾される側」のうしろに置くことが多いので、日本語に訳す場合はカタマリごとにうしろから訳すとしっくりきます。

一方、英語の順番どおりに訳すと以下になります。

私はパンを食べながら急いで走るサラリーマンを見た。

 

この順番でも何を言っているのか一応わかります。なぜなら、日本語では主語の後ろには「は」や「が」、目的語の後ろには「を」や「に」のように助詞をつけて話すのが一般的なので、それを理解の道しるべにできるからです。

しかし、「私は、見た、サラリーマンを、忙しそうに走っている、パンを食べながら」を聞いて、その具体的なイメージを脳に展開し、留めておくことは辛くないですか。

なぜなら、慣れ親しんできた日本語の語順を変えて脳に展開するのは脳への大きな負担になるからです。生命は負担になるものに拒絶反応を起こしてそれを排除しようとします。脳も同じように、誤った日本語の語順に拒絶反応を起こし、混乱や苛立ちを生み出してイメージから排除しようとします。

だからといって「私はパンを食べながら急いで走るサラリーマンを見た。」のような日本語のルールどおりの文に直しながら考えるのはあまりにも時間がかかりすぎます。

つまり、英語を理解するときに日本語を使っているうちは英語の流れについて行けないということです。

英語が得意になるのにはどうすればいいか

英語が得意になるには「英語⇒日本語⇒脳内イメージ」ではなく「英語⇒脳内イメージ」となるように訓練することです。例えば、sawと言われたら「見た」と訳して、そこから見ている姿をイメージするのではなく、sawと言われたらそのまま見ている姿をイメージできるようになるということです。本サイトでは、これを「直イメ(ちょくいめ)」と言います。

saw

 

直イメできるようになるにはどうすればいいか。それは英文を読んで読んで読みまくることです。分からない単語を調べるときはどうしても日本語の力を借りる必要がありますが、一度覚えた単語は日本語を通さなくてもそのまま具体的なシーンをイメージできるようになるまで何度も英文を読んで下さい。

何度も繰り返し英文を読んでいるうちに脳が重要なデータと判断して、その単語の直イメが長期記憶として保存されます。

英文の読み方にも注意が必要です。必ず左から右に流れるように英文を読んで下さい。訳しやすいからといって、下図のように左に戻るように読んではいけません。理由は私たち日本人が後ろに戻るように文章を読まないのと一緒です。

I saw (an office worker) (who ran hastily) (while eating bread).

直イメしながら、英文を読む流れをみてみましょう。

「I saw」と聞いた瞬間に「何かを見ているシーン」をイメージ

I saw

 

「an office worker」と続いたら、サラリーマンのイメージを追加。

I saw an office worker

 

「who ran hastily」と続いたら、走っているイメージを追加。

who ran hastily

 

「while eating bread」と続いたら、パンを食べているイメージを追加。

while eating bread

 

このように、英語は最初に何について話すのかを言ったあと、文の後ろで補足情報を追加していく流れで進んでいきます。この流れに逆らうように逆戻りして読んではいけません。日本語を切り離し、直イメしながら英語の流れに乗れるように英文を読んで読んで読みまくって下さい。

文型を感じながら読む

日本語の単語は「が、を、に、の、と」などの助詞とともに文を作るので、変な語順になっていても意味が分かることが多いです。例えば、以下の日本文を読んで下さい。

「おばあちゃんを、助けました! ピットは」

ピットがおばあちゃんを助けてあげたことが分かります。次に、以下の英文を読んで下さい。

An aged person helped!  Pit.

なんだかおばあちゃんがピットを助けたような文になりました。このように、英文には助詞が無いので、語順が間違っていると訳が分からなくなることが多いです。よって、英文を読み解くには、単語の並びから文型を把握することが重要になります。

今読んでいる箇所はS(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)のどれなのかを感じながら読みましょう。⇒「文型とは

SVOC

まとめ

以上、英語を読んで読んで読みまくるときのポイントについて説明しました。まとめると以下になります。

①直イメできるようになるまで、何度でも読んで読んで読みまくる。

②逆行せずに読んで読んで読みまくる。

③文型を感じながら読んで読んで読みまくる。

英文の多読をするときの教材は何を使っても構いません。ただし、分からない単語がある度に辞書を引いたり、読んだ文の内容や文型がイメージどおりなのかをチェックするのに時間をかけるのは少し勿体ないのと、面倒でチェックしなかったために誤解したまま先に進んでしまうのも勿体ないです。

そこで、本サイトでは皆さんの英文の多読を手助けるために、ピットと太郎の物語「ペラペラ英語飯(ぺらぺらえいごはん)」を連載していきます。物語の下に、文中に出てくる単語、熟語、文型、訳が載っているので、分からなかったところや、自分がイメージした内容が合っていたのかをチェックしながら効率よく英語をマスターするのに役立てて下さい。

何事も継続が大切なので、なるべく読みやすい文章を心掛けました。楽しみながら読んでもらえると幸いです。

念のため、英文添削IDIYの講師にチェックをしてもらったあとに英文を掲載しているので、面白いか面白くないかは別として、文法や日常英会話の表現としては問題ないと思います。IDIYの講師の皆さん、ご協力ありがとうございます。

それでは英語習得を目指して一緒に楽しんでいきましょう。

ペラペラ英語飯の音読

この度、アメリカネイティブの方がペラペラ英語飯を音読してくれることになりました。

名前はShanti Rahim(愛称:シャンティ)さん。20代前半の若さにもかかわらず、西はヨーロッパ、東はアジアまでとても多くの国に行った経験がある人です。

小中学校の英語の先生、英会話スクールの講師として、北海道で2年間生活していました。大学でも日本語を勉強していたそうで、日本語がすでにペラペラなのもすごいです。

色々な学校に訪問し、人気で超多忙な生活をしているシャンティさんが、何とペラペラ英語飯の音読をしてくれることになりました。シャンティさんありがとうございます。現在は21話まで公開しています。

物語の挿絵に再生ボタンが表示されているので、それを押すと音読が再生されます。物語を読むときの、ネイティブの発音と英語のリズムをぜひ楽しんで下さい。

Shanti Rahim

American living on the west coast of the United States. She lived in Hokkaido, Japan for 2 years as an English teacher.