前置詞by、beside、nearの使い方。近くにあるものを表現する。
この記事では前置詞のby、beside、nearについて説明します。すべて「接近」の意味を持つ前置詞です。前置詞とは何かについては次の記事を参照して下さい。
⇒「前置詞とは」
by(接近)
byの基本イメージは「~のそばに(接近)」です。byと聞くと、受動態の行為者(~によって)を連想しやすいですが、接近の意味もしっかりと押さえておきましょう。
誰が見ても近いニュアンスで伝わります。
There is a barber by Pit’s house.
「ピットの家のそばに床屋がある。」
Taro passed by the barbershop.
「太郎は床屋のそばを通り過ぎた。」
by(手段)
接近のイメージから派生して、手段を表現するのに使います。byの後ろの名詞は実際に使う物ではなく手段を表しているので冠詞を付けません。
Pit made an appointment for a haircut at 3 by phone.
「ピットは電話で3時に散髪の予約をした。」
実際に使う物を伝える場合は冠詞を付けます。
Taro went to the barber by a white color bicycle.
「太郎は白い色の自転車に乗って床屋に行った。」
世の中には「目的」と「手段」がセットで存在します。目的を達成するには何かしら行動する必要があるので、「目的」とのあいだに距離を感じやすいですが、「手段」は既にあるものを使うので近くに感じやすい。そのため、手段を表現するのにbyが使われます。
このように、byは「接近」のイメージから「自分のそばにある従うべきもの(拠り所、指針)」のイメージへと派生します。
ちなみに、「電話を使って話す」を表現するときは on the phone や via the phone も可能です。直訳すると、onは「電話機という道具を使って話す」。viaは「電話機を経由して話す」です。
物体ではなく、情報や経路なども手段として使えます。
You shouldn’t judge people by externals.
「人を外見で判断すべきではない。」
by(期限)
「自分のそばにある従うべきもの(拠り所、指針)」のイメージから、期限を表現するのに使われます。
Pit asked the hair stylist to finish by 4 pm.
「ピットは4時までに終わらせるように理容師にお願いした。」
until「~まで」との違いについては次の記事を参照して下さい。
⇒「byとuntilの違い」
by(程度)
「自分のそばにある従うべきもの(拠り所、指針)」のイメージから、これぐらいという程度を表現するのに使われます。
The hair stylist cut Pit’s hair by 1 inch.
「理容師はピットの髪を1インチほど切った。」
ちなみに、日本人が短いことを表現するときによく言う「1、2センチ」は英語ではa few inchesと言うのが一般的です。ただ、英語では切って欲しい長さではなく、仕上がりでオーダーすることが多いので「1、2センチだけカットして下さい。」はI want to keep the length(長さはそのままで)と言います。
by(単位)
「自分のそばにある従うべきもの(拠り所、指針)」のイメージから、単位を表現するのに使われます。
This barber shop charges $5 by 10 minutes.
「この美容室は10分5ドルの料金が発生する。」
by(行為者)
受動態で使われるbyは行為者を意味します。
⇒「受動態とは」
Pit’s hair was cut by a star beautician.
「ピットの髪はカリスマ美容師に切ってもらった。」
beside(接近)
besideの基本イメージは「接近」です。byとbesideではbesideの方が距離が近いニュアンスになります。また、be + side(横にいる)がもとになっているので、横に並んでいる表現で使われます。
Taro sat down beside Pit.
「太郎がピットのそばに座った。」
beside(比較)
並んでいるイメージから、比較する表現に使われます。besideの比較は横に並べて比べられる時にのみ用いられます。
I have a lot of hair beside you.
「君に比べると私は髪の毛の量が多い。」
ちなみに、英語で比較の文章を作る際には対象を同じにしてあげる必要があります(「私⇒あなた」または「私の髪の毛⇒あなたの髪の毛」)。なので、髪の毛を主語にした場合は My hair is thick beside yours.となります。
beside(外す)
「本文の横にある」⇒「本文と同じではない」のようにイメージが派生して、的を外している表現で使われます。
Taro’s explanation is beside the point.
「太郎の説明は的を外している。」
ちなみに、besideは接続副詞としても使えます。
⇒「接続副詞とは」
near(接近)
nearの基本イメージは「~の近くに(接近)」です。
There is a barber near Pit’s house.
「ピットの家の近くに床屋がある。」
nearは話し手が感覚的に近いと感じるときに使います。なので、どれだけ離れていても、近いと感じるものにはnearを使えます。
Korea is near Japan.
「韓国は日本に近い。」
nextを使って「~の隣りに」を表現するときはnext toを使います。
Taro sat down next to Pit.
「太郎はピットの隣りに座った。」
nearはある状態に接近しつつあることを表現するのに使えます。by、besideはこのような表現には使えません。
The work is near completion
「仕事は完成に近づいている。」
まとめ
以上、by、beside、nearの使い方について説明しました。下表はまとめです。
前置詞 | 説明 |
---|---|
by 接近 | 誰が見ても近いと思う客観的な近さを表現する。派生イメージは手段、期限、程度、単位。また、受動態の行為者を表現するときも使われる。 |
beside 接近 | 横に並んで接近していることを表現する。派生イメージは比較、外す。byよりも距離が近いニュアンスとして伝わる。 |
near 接近 | 話し手が感覚的に近いと感じるときに使う。場所以外にも、ある状態が接近している表現でも使われる。 |