前置詞across、along、around、about、throughの使い方。周囲や通過を表現する。

2017年8月7日

この記事では前置詞のacross、along、around(round)、about、throughについて説明します。前置詞とは何かについては次の記事を参照して下さい。
⇒「前置詞とは

across(横断)

acrossの基本イメージは「横断」です。道路や川など何かを隔てているものを横切るイメージです。

Taro went across the street.

「太郎は道路を横切った。」

前置詞across

 

横切るものがどんなに幅広くても大丈夫です。

Taro swam across the Pacific Ocean.

「太郎は太平洋を泳いで渡った」

太郎は太平洋を泳いで渡った

 

動きのある動詞だけでなく、道路を挟んだ向こう側にあるのような位置関係を表現することもできます。

A bus stop is across the street from Pit’s house.

「バス停がピットの家から道路を挟んで向かいにあります。」

家の向かいにバス停がある

across(交差)

横断の基本イメージから派生して、物を交差させたり、斜めに身に付けたりする表現でも使われます。

Taro looped the loop across his shoulder.

「太郎は肩にロープを巻いた。」

along(沿う)

alongの基本イメージは「沿う」です。道路や川など直線的なものに沿っているイメージです。

Taro walked along the road.

「太郎は道に沿って歩いた。」

「道に沿って歩く」には2通りの解釈の仕方があります。

① 道に沿って道の上を歩いている

② 道の端に沿って歩いている(道の上を歩いていない)。

道が車道であれば①のような危険な歩き方はしないので②の意味だと分かると思います。逆に、道が歩道であれば①の意味だと分かります。

誤解なく「道の上を歩いた」と伝えたいときは、以下の文のように前置詞onを使って表現します。

Taro walked on the road.

「太郎は道を歩いた。」

道に沿って歩く

 

何かに沿って人や物が存在している表現にも使われます。

A cherry trees are along the road.

「桜の木が道に沿って咲いている。」

道に沿って桜が咲いている

 

ちなみに、alongを副詞で使うとき、「沿う」というイメージをもとに人間関係が沿っている(仲良くやる)表現に使われることがあります。

They’ll get along together.

「彼らは一緒に仲良くやっていくだろう。」

以下の動画は、とみさんが歌う「Get Along Together」

around(周囲)

aroundの基本イメージは「周囲」です。中心の周りをぐるっと回るイメージです。ちなみに、aroundの代わりにroundを使ってもいいです。

Taro walked around Pit’s house.

「太郎はピットの家の周りを歩いた。」

太郎がピットの家の周りをぐるっと回った

 

中心はどんなに小さくても、どんなに大きくても大丈夫です。

Taro flew around the earth.

「太郎は地球の周りを飛んだ。」

太郎が地球の周りをまわる

 

何かの周りに人や物が存在している表現にも使えます。

Taro planted cherry trees around Pit’s house.

「太郎はピットの家の周りに桜の木を植えた。」

太郎は家の周りに桜の木を植えた

 

必ず中心から円を囲むわけでは無いです。「あちこちに」という表現でも使えます。

Pit and Taro traveled around the country.

「ピットと太郎は国のあちこちを旅行した。」

ピットと太郎は国のあちこちを旅行した

around(およそ)

周りにあるイメージから「およそ」を表現するのに使われます。

The pet shop is around 100 feet from Pit’s house.

「ペットショップはピットの家からおよそ100フィートのところにある。」

「およそ」のaroundは、値の前後を含むニュアンスになります。なので上記文は100フィートに近い値で、正確に測った結果は100フィート以下の場合も、100フィート以上の場合も想定されるということです。

日本とアメリカの距離の単位の違いについては次の記事を参照して下さい。
⇒「日本とアメリカの距離の単位の違い

ピットの家から50フィート離れた場所にペットショップがある

around(方向転換)

ぐるっと回るイメージから、方向転換の表現で使うことができます。

Taro walked around the corner.

「太郎は角を曲がって歩いた。」

around the cornerを直訳すると「角の周囲(近く)」です。体の向きを右に変えたのか、左に変えたのかは分かりませんが、「角の付近を歩いた」⇒「角を曲がった」という意味で伝わります。

方向を含めて明確に「角を右に曲がった」を伝えるときは、Taro turned right at the corner.と言いましょう。

about(周囲)

aboutの基本イメージは「周囲」です。先ほど説明したaroundと同じで「周りに」という意味で使われますが、aboutは「回る」というニュアンスでは使われないのが違いです。

Taro planted cherry trees about the town.

「太郎は街の周りに桜の木を植えた。」

ちなみに、「周囲」の意味で使うaboutは主にイギリスで用いられている用法です。アメリカではaroundが一般的です。英語としては間違いではありませんが、イギリス語圏以外の人とのコミュニケーションで使うと誤解を与える可能性があるのを覚えておきましょう。

街の周りに桜の木を植えた

about(およそ)

中心に近いイメージから「およそ」を表現するのに使われます。先ほど説明したaroundとほぼ同じ意味で、値の前後を含むニュアンスになります。堅い表現ではabout、日常会話ではaroundを使いましょう。
⇒「about、around、nearlyの違い

The pet shop is about 100 feet from Pit’s house.

「ペットショップはピットの家からおよそ100フィートのところにある。」

about(関連)

中心に近いイメージから「~について」を表現するのに使います。

They talked about the practice of baseball tomorrow.

「彼らは明日の野球の練習について話をした。」

前置詞onも「~について」という意味で使えます。
⇒「前置詞on(~について)

through(通過)

throughの基本イメージは「通過」です。acrossは平面的に感じるものを横切るイメージなのに対し、throughは立体的に感じるものを通り抜けるイメージです。

Pit’s car went through a tunnel.

「ピットの車はトンネルを通過した。」

トンネルを通過する

through(期間中ずっと)

「通過する」⇒「入ってから出るまで状態が続いている」というイメージから、「期間中ずっと」という表現で使われます。

Taro stayed at Osaka through the summer.

「太郎は夏のあいだずっと大阪にいた。」

同じ意味で使われるduringとの違いについては次の記事を参照して下さい。
⇒「throughとduringの違い

through(原因)

通過するイメージから派生して、原因を表現するのに使われます。原因となる存在を通過して結果が生み出されるイメージです。良い事、悪い事、どちらの表現にも使えます。

Taro learned how to plant cherry trees through observing a gardener.

「太郎は園芸課を見て桜の木の植え方を覚えました。」

through(終了)

通過したイメージから派生して、物事が終わったことを表現するのに使います。

Taro got through his working.

「太郎は仕事が終わった。」

He failed at first to plant trees through want of experience.

「経験不足のため、彼は木を植えるのに最初は失敗した。」

人間関係が終わるという表現でもよく使われます。以下の動画はアリスが「I’m through with rabbits.(ウサギとは縁を切った)」と言うシーンです。