前置詞to、towardの使い方。到達点や方向を表現する。

2017年7月24日

この記事では前置詞のto、towardについて説明します。前置詞とは何かについては次の記事を参照して下さい。
⇒「前置詞とは

to(到達点)

toの基本イメージは「到達点」です。どこに到達するのかを指し示します。

Pit and Taro went to Aomori.

「ピットと太郎は青森に行った。」

青森に行く

 

到達点までの距離は関係ありません。どんなに近くても、どんなに遠くても使えます。

Taro flew to the moon.

「太郎は月に飛んで行った。」

月に飛んで行った。

 

物理的な到達点だけではなく、状況や目的、時間的なものも含め、あらゆる到達点を表現できます。

Taro told the story to Pit.

「太郎はピットに物語を話した。」

They are looking forward to Sunday.

「彼らは日曜日を楽しみにしている。」

Taro’s story came to the end.

「太郎の物語は終わった。」

太郎がピットに物語を話した

to(方向)

到達点を指すイメージから派生して、方向を表現するのにも使われます。

Taro’s room is face to the south.

「太郎の部屋は南向きである。」

Taro looked up to the top of the tower.

「ピットはタワーの頂上を見上げた。」

Taro turned to the left.

「太郎は左に曲がった。」

to(範囲)

到達点のイメージから派生して、範囲を表現するのにも使えます。

Taro jumped to the full extent of their powers.

「彼らは力の限りジャンプした。」

ただし、上記文のような範囲を表現するときは「as high as S can」や「as high as possible」を使ったほうが自然です。

Taro jumped as high as he could.

全力でジャンプする

to(相対)

到達点のほうを向いているイメージから派生して、相対している表現に使います。

以下の文は本の中に教訓があるのではなく、本に対して教訓が存在するので、inではなくtoを使って表現しています。

There is a moral to the book.

「その本には教訓がある。」

Pit talked face to face with Taro.

「ピットは太郎と面と向き合って話した。」

ピットが太郎を励ます

to(一致)

到達点のほうを向いているイメージから派生して、到達点との一致の表現に使うことがあります。

Teaching comes natural to the bird.

「教えることは鳥に合っている。」

to(比較)

到達点のほうを向いているイメージから派生して、到達点との比較の表現に使うことがあります。以下の英文を読んで下さい。

Pit favors apples than oranges.

「ピットはオレンジよりリンゴを好む。」

Pit opts for apples than oranges.

「ピットはオレンジよりリンゴを選ぶ。」

このように、通常は比較の文はthanを使って表現しますが、特定の動詞や形容詞ではtoを使います。下表の動詞と形容詞に限られているので、すべて覚えてしまうことをお勧めします。

単語例文
prefer A to BBよりもAを好む
Taro prefer apples to oranges.
「太郎はオレンジよりもリンゴを好む。」
senior to AAより先輩
Taro is senior to Pit.
「ピットは太郎の先輩である。」
junior to AAより後輩
Pit is junior to Taro.
「太郎はピットの後輩である。」
superior to AAより優れている
Taro is superior to Pit.
「太郎はピットより優れている。」
inferior to AAより劣っている
Pit is inferior to Taro.
「ピットは太郎より劣っている。」

 
どうしてthanではなくtoを使うの?

preferはラテン語由来の単語で、動詞そのものに比較級の意味「~よりも好きだ」が含まれています。そのためthanを使わず、「向き合っている」表現のtoが使われます。senior、junior、superior、inferiorもラテン語由来の単語です。

toward(方向)

toは到達をイメージしながら使うことが多いですが、towardは到達をイメージせずに方向のみの表現で使います。

The bird flew toward the moon.

「鳥が月の方に飛んで行った。」

この文は、鳥が月に到達するまでには意識はいかず、単に月の方向に向かって飛んで行ったニュアンスになります。

ちなみに「左に曲がる」は turn to the left と言って、turn toward the left とあまり言わないのは理由があります。それは、toの方がはっきりとした情報、towardはあやふや、かつあいまいなニュアンスを含むためです。

そのため、turn to the leftは左をしっかり向き、turn toward the leftは左の方角あたりを向くニュアンスになり、必然的にtoのほうがよく使われるのです。

月に向かって鳥が飛んで行った。

toward(~頃)

towardは到達をイメージしていない。このような終点が曖昧なイメージから「~近く」、「~頃」という表現で使われることがあります。この意味でのtowardは時間と関係がある表現でのみ使えます。

The bird came back toward the morning.

「鳥は朝方戻ってきた。」

朝方に鳥が戻ってくる

まとめ

以上、toとtowardの使い方について説明しました。下表はまとめです。

前置詞説明
to
到達点
物理的な到達点だけではなく、状況や目的、時間的なものも含め、あらゆる到達点を表現できる。派生イメージは方向、範囲、相対、一致、比較。
toward
方向
到達をイメージしない単なる方向の表現で使う。toよりもあやふや、かつあいまいなニュアンスを含む。派生イメージは「~頃」