「助動詞 have 過去分詞」の使い方。過去のある時点についての話し手の判断を追加する。

2017年7月20日

本記事では「助動詞+have+過去分詞」について説明します。

助動詞 have 過去分詞

 

まず、下表は助動詞の代表的なものです。

助動詞意味
can~できる(能力)
~できる(してもいい、許可)
~はありえる(可能性)
may~かもしれない(推量)
~してもいい(許可)
must~しなければならない(義務)
~に違いない(推量)
should~すべき(義務)
~のはず(確信)
will~だろう(予想)
~するつもり(意志)
よく~する(習慣)
need~する必要がある(義務)

 

上記の助動詞は今この瞬間のことについて話し手の判断を追加します。例えば、

「ピットはメロンが好きかも知れない。

のように言ったりします。これを

「ピットはメロンが好きだったかも知れない。

のように言うと、現在は好きか嫌いかは分かりませんが、過去のある時点で「~だったかも知れない」という意味になります。このような、過去のある時点のことについて話し手の判断を含ませたいときに使われるのが「助動詞+have+過去分詞」です。

ピットはメロンが好きなのかも知れない

過去形ではダメなのか?

「過去のある時点なんだから過去形を使えばいいじゃん」と思った方、ナイス直感です。確かに、canの過去形couldを「~できた」という意味で使うなど、過去形を使って表現するものがありますが、それ以外は「助動詞+have+過去分詞」の構造をとります。

なぜなら、助動詞の過去形は過去のことを表すよりも、言い方を丁寧にしたり、確率を下げるなど文の印象を変えるために使うからです。

また、mustには過去形がなく、shouldは既に過去形(現在形はshall)です。そんなこんなで、過去のある時点についての話し手の判断を含めるのには「助動詞+have+過去分詞」を使います。

could「~できた」

過去のある時点のことについて能力的に「~できた」を表現するときはcanの過去形のcouldを使います。be able toも使えます。

Pit could swim. 「ピットは泳ぐことができた。」

Pit was able to swim. 「ピットは泳ぐことができた。」

能力的な「~できた」ではなく、単発の「~できた」を表現するときはcouldは使わずに、be able toを使って表現します。ややこしいルールですが、覚えておきましょう。

Pit was able to rent this room. 「ピットはこの部屋を借りることができた。」

ピットは泳ぐことができた

can have 過去分詞「~だったかも知れない」

canには「~はありえる(可能性)」という意味の使い方があります。「can have 過去分詞」を使うと「~だったはありえる」⇒「~だったかも知れない」という過去のある時点での可能性を表す文になります。しかし、「can have 過去分詞」はほとんど使われず、過去形のcouldを用いた「could have 過去分詞」が通常使われています。

ただし、「can have 過去分詞」は文法的に間違いではなく、まれに使われることがあります。

Pit could have eaten all the apples.
「ピットはリンゴを全部食べたのかも知れない。」

なお、上記文は事実に関しての推量(~だったかも知れない)ですが、能力的に「~できたのかも知れない」という意味でも使えます。

Pit could have eaten all the apples.
「ピットはリンゴを全部食べることができたかも知れない。」

 

否定文にすると「~だったはありえない」⇒「~だったはずがない」という過去のある時点で可能性が無いことを表す文になります。可能性を打ち消しているので、かなり強い否定として相手に伝わります。cannot[couldn’t] haveの確信度は99%です。

Pit cannot have eaten all the apples.

「ピットはリンゴを全部食べたはずがない。」

Pit couldn’t have eaten all the apples.

「ピットはリンゴを全部食べたはずがない。」

これも同じく、能力的に「~できたはずがない」という意味でも使えます。

Pit couldn’t have eaten all the apples.

「ピットはリンゴを全部食べることができたはずがない。」

すべてのリンゴを食べたはずはない

may have 過去分詞「~だったかも知れない」

mayには「~かもしれない(推量)」という意味の使い方があります。「may have 過去分詞」を使うと「~だったかも知れない」という過去のある時点での推量を表す文になります。

日本人がmayと聞くと日本語の「たぶん」を連想し、高い確率で実現するイメージを持ちますが、mayの確信度は50%です。

Pit may have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べたのかも知れない。」

mayを過去形のmightにすると確率が下がって、控え目なニュアンスとして伝わります。mightの確信度は30%です。いつもの may、mightと同じですね。
⇒「助動詞mayとは

Pit might have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べたのかも知れない。」

否定文にすると「~ではないかも知れない」という過去のある時点での推量を表す文になります。

Pit may not have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べてないのかも知れない。」

Pit might not have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べてないのかも知れない。」

なお、may単体は「~してもいい」という意味で使われることがありますが、「may have 過去分詞」を「してもよかった」という意味で使うことはできません。

may have 過去分詞のイメージ

must have 過去分詞「~だったに違いない」

mustには「~に違いない(推量)」という意味の使い方があります。「must have 過去分詞」を使うと「~だったに違いない」という過去のある時点での推量を表す文になります。客観的な証拠をもとにした、かなり自信のあるニュアンスで伝わります。mustの確信度は95%です。

Pit must have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べたに違いない。」

否定文にすると「~のはずがない」という過去のある時点での推量の表現になります。

Pit must not have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べたはずがない。」

なお、mustには過去形はないです。また、mustは「~しなければならない」という意味で使われることがありますが、「must have 過去分詞」を「しなければならなかった」という意味で使うことはできません。

すべてのリンゴを食べたに違いない

should have 過去分詞「~だったはず」

shouldには「~のはず」という意味の使い方があります。「should have 過去分詞」を使うと「~だったはず」という過去のある時点での確信を表す文になります。shouldのの確信度は90%です。

Pit should have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べたはずだ。」

なお、shouldはshallの過去形なので、時制を変えた表現はありません。

否定文にすると「~ではないはず」という過去のある時点での推量の表現になります。

Pit should not have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べてないはずだ。」

リンゴを全部食べたはずだ

would have 過去分詞「~だっただろう」

willには「~だろう」という意味の使い方があります。過去形のwouldを使って「would have 過去分詞」にすると「~だっただろう」という過去のある時点での推量を表す文になります。

なお、「will have 過去分詞」は未来完了形として使われることが多いです。未来のある時点に視点を置いて「~していることでしょう」という未来の表現になります。なので、過去の話とは別物です。
⇒「未来完了形とは

Pit would have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べただろう。」

否定文にすると「~ではなかっただろう」という過去のある時点での推量の表現になります。

Pit wouldn’t have eaten all the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べてないだろう。」

またwill単体では「~するつもりだ」という意味で使われることがありますが、「would have 過去分詞」を「~するつもりだった」という意味で使ってもいいけど、ほとんど使われません。

I would have driven you home.「車で送ってあげるつもりだったのに。」

以下のように言った方が自然になります。

I was going to drive you home.「車で送ってあげるつもりだったのに。」

さらにwill単体では「よく~する」という意味で使われることがありますが、「would have 過去分詞」を「よく~した」という意味で使うことはできません。「よく~した」はwouldだけで表現します。

I would swim in the sea all day.

「一日中海で泳いだもんだよ。」

I would take naps on the roof.

「屋根の上で昼寝したなぁ。」

would have 過去分詞

 

上記までが、「助動詞+have+過去分詞」を過去のある時点についての推量を表す使い方です。「助動詞+have+過去分詞」は他に「~だったのに(でもしてしまった)」という過去に対する後悔や非難を表すときに使われることがあるので、以下でそれを説明します。

should have 過去分詞「~すべきだった(けどしなかった)」

shouldには「~すべき(義務)」という意味の使い方があります。「should have 過去分詞」にすると「~すべきだった」という過去についての後悔、非難を表す文になります。「~すべきだった」を言い換えると「しなかった」、つまり、すべきだったけどしなかったという意味になります。

Pit should have eaten all apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べるべきだった(けど食べなかった)」

否定文にすると、すべきでなかったけどしたという意味になります。

Pit shouldn’t have eaten all apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べるべきではなかった(けど食べた)」

リンゴを食べて去るピット

needn’t have 過去分詞「~する必要はなかった(けどした)」

needには「~する必要がある」という意味の使い方があります。「need not have 過去分詞」にすると「~する必要はなかった(けどした)」という過去についての後悔、非難を表す文になります。

Pit needn’t have eaten all apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べる必要は無かった(けど食べた)」

肯定文の「need have 過去分詞」は不自然という意見が多いです。先ほどの「should have 過去分詞」を使って表現するのが自然だそうです。

He should have eaten the apples.

「ピットはすべてのリンゴを食べるべきだった(けど食べなかった)」

リンゴを食べて去るピット

could have 過去分詞「~できた(けどしなかった)」

couldには「~できた(可能)」という意味の使い方があります。「could have 過去分詞」を「~できた(けどしなかった)」という過去についての後悔、非難を表す表現で使うことがあります。

You could have gone to any college she wanted to.

「 あなたは好きな大学ならどこへも行けただろうに。」

You could have gone to the bathroom when we were at the resting area.

「休憩所にいる時にトイレに行っておけばよかったのに。」

まとめ

ということで「助動詞 have 過去分詞」の使い方について説明してきました。種類が沢山あるので最後に表にまとめておきます。灰色の箇所は、その意味で使えそうな気がするけど使えないものです。

表を丸暗記するのはいずれ忘れるだけなので、英文を読んでいるときに「助動詞 have 過去分詞」に出くわしたら、どの意味かを考えて感覚を磨いていきましょう。実際に使っているセリフを言いまくって血肉化させるのをオススメです。

構造意味確信度
can have 過去分詞
couldn't have 過去分詞
(can haveは全然使われない)
~だったかも知れない。
~できたかも知れない。
~できた(けどしなかった)
cannot have 過去分詞
couldn't have 過去分詞
~のはずがない。99%
~できたはずがない。99%
~できなかった(けどした)
may have 過去分詞
might have 過去分詞
~だったかも知れない。50%(may)
30%(might)
~しても良かった(けどしなかった)
may not have 過去分詞
might not have 過去分詞
~ではなかったかも知れない。50%(may)
30%(might)
~しなくても良かった(けどした)
must have 過去分詞~だったに違いない。95%
~しなければならなかった
must not have 過去分詞~ではなかったに違いない。95%
~してはいけなかった
should have 過去分詞~だったはず。90%
~すべきだった(けどしなかった)
should not have 過去分詞~ではなかったはず。90%
~すべきではなかった(けどした)
will have 過去分詞~しているだろう(※未来完了形)
would have 過去分詞~だっただろう。90%
~するつもりだった
よく~した
would not have 過去分詞~ではなかっただろう。90%
~するつもりではなかった。
よく~しなかった
need have 動詞~する必要があった(けどしなかった)
need not have 動詞~する必要はなかった(けどした)