従位接続詞「that」の使い方。「~ということ」の意味で文をつなぐ。
本記事では従位接続詞の「that」について説明します。
前回記事まで説明してきた等位接続詞は、文と文を同じ重要度でつなぐ接続詞でした。
本記事から説明する従位接続詞は、文と文を異なる重要度でつなぐ接続詞です。
重要度が高いほうの文を「主節」、重要度が低いほうの文を「従属節」といいます。
重要度が低いといっても、重要じゃない文ということではなく、主節の方に重点が置かれ、従属節が主節を補足するように接続するということです。
that~「~ということ」
thatは「~ということ」という意味の従属節を主節とつなぐ接続詞です。
thatは接続詞以外にも指示代名詞や関係代名詞として使われます。関係代名詞については後日記事で説明します。⇒「指示代名詞とは」
色々な使われ方があって混乱しそうですが、1つずつ潰して突破しましょう。
以降の説明を読む前に名詞句の記事を読んでおくと分かりやすいと思います。⇒「名詞句とは」
以下の英文を読んで下さい。
(A)I know. 「私は知っている。」
(B)He likes apples. 「彼はリンゴが好きだ。」
上記の文をthatを使って接続すると以下になります。
「私は彼がリンゴが好きなことを知っている。」
このように、主語+動詞をともなう文の先頭にthatを置けば「that+文」のカタマリを名詞節として使うことができます。この名詞節は通称「that節」と言われます。
名詞節は文中で名詞と同じように使うことができます。名詞はS(主語)、V(述語動詞)、O(目的語)、C(補語)のうちの何になれるか覚えているでしょうか。そうです。S、O、Cになれます。⇒「S、V、O、Cとは」
以下の文はthat節を主語(S)として使う例です。
That heeatsanapplewithaspoon is famous. 「彼がスプーンを使ってリンゴを食べることは有名だ。」
アメリカ人はこのような主語が長い文が嫌いです。そこで形式主語という技を利用します。まずthat節をitに変えます。このItが形式主語と言われるものです。
It is famous.
次に、文の最後にthat節をくっつけて完成です。このthat節のことを真主語といいます。
It is famous that heeatsanapplewithaspoon. 「彼がスプーンを使ってリンゴを食べることは有名だ。」
形式主語を使っても使わなくても意味は同じですが、聞き手はこれから「有名なこと」の話が続くことを把握してから話を聞くことができます。
以下の文はthat節を目的語(O)として使う例です。
I know that heeatsanapplewithaspoon. 「私は彼がスプーンを使ってリンゴを食べることを知っている。」
以下の文はthat節を補語(C)として使う例です。
Today’s topic is that heeatsanapplewithaspoon. 「今日の話題は彼がスプーンを使ってリンゴを食べることです。」
that節で名詞を修飾する
名詞の後ろにthat節を置いて名詞を説明することがあります。以下の英文を読んで下さい。
「私は彼がスプーンでリンゴを食べる事実を知っている。」
「the fact(事実)」の具体的な内容をthat節が説明しています。このような「名詞=that節」を同格の関係といいます。ただし、同格の関係にできる名詞はfact(事実)、hope(希望)、news(連絡)などの知識、情報系の単語に限られています。他にもたくさんあるので調べてみて下さい。
「同格」という近寄りがたい言葉が出てきましたが、難しく考える必要はありません。that節が形容詞節になって名詞を後ろから修飾していると考えましょう。
ちなみに、goo辞書では同格は以下のように説明されいています。
文法で、一つの文の中において、語あるいは文節が他の語あるいは文節と、文の構成上の機能が同一の関係にあること。
引用元: goo辞書「同格」
「the fact=that節」なので第5文型(SVOC)に分類されそうな気がしますが、これは第3文型(SVO)です。⇒「文型とは」
第5文型(SVOC)の「O=C」は同じものを表現するときのそれぞれの視点が異なります。例えば、以下の英文は第5文型です。
Dogs make me happy. 「犬は私を幸せにする。」
「私=幸せ」は同じものをそれぞれ別の視点から表現しています。
一方、「that he eats an apple with a spoon」と「the fact」は同じものを両方とも同じ視点から表現しています。ゆえに補語(C)には分類されないという見方がありますが、何だかスッキリしませんね。。もっと分かりやすい理由が分かったら追記します。
とりあえず、that節は知識、情報系の名詞を後ろから修飾できることを覚えておいて下さい。
that節で形容詞を修飾する
形容詞の後ろにthat節を置いて形容詞を説明することがあります。以下の英文を読んで下さい。
I’m happy that I ate apples. 「私はリンゴを食べれて嬉しい。」
「私は友だちからリンゴを貰えて嬉しい。」
「happy(嬉しい)」の具体的な理由をthat節で説明しています。後ろにthat節を置ける形容詞はhappy(嬉しい)、sure(確信している)、disappointed(残念だ)などの感情系の形容詞に限られています。他にも沢山あるので調べてみて下さい。ちなみに、形容詞とthat節は同格の関係ではありません。
上記の文は第2文型(SVC)です。that節が副詞節のような役割となって形容詞を後ろから修飾しています。
thatの省略
thatは省略されて身を隠すことがあります。よく省略されるのは、that節が目的語(O)になっているときです。「think(思う)」「say(言う)」などで省略されることが多いです。
He said he ate anapplewithaspoon.
「彼は彼がスプーンを使ってリンゴを食べていると言った。」
形容詞を修飾する場合も省略されることが多いです。
I’m happy I ate apples.
「私はリンゴを食べれて嬉しい。」
thatには色々な用法があるので文中のいたるところに出てきますが、さらに身を隠す術も持っているとはあなどれない存在ですね。
文中でいきなり主語+動詞が現れたら、thatが省略されてないかを疑ってみましょう。