不思議の国のアリス52「帽子屋にからかわれて怒ったアリスが立ち去ろうとしたところに、ミスターラビットが現れる」
アリスは帽子屋と三月ウサギにからかわれて怒りました。
Have a cup of tea indeed.
アリス「どうぞお茶を飲んで下さい。」
indeedはイギリスでよく使われる単語で「本当に」という意味を追加します。心のこもった感じが伝わります。ただし、アメリカではあまり使われません。
Thank you, indeed. 「本当にありがとう。」
Well, I’m sorry, but I just haven’t the time.
アリス「さて、すいませんけど、私は時間が無いので。」
この文は等位接続詞のbutを使って以下の2つの文を逆接でつないでいます。
⇒「等位接続詞butとは」
(A)I’m sorry.
(B)I just haven’t the time.
文頭に置くwellは色々な意味に解釈されます。何かを言う前のクッションくらいに考えましょう。このセリフのWellは話を変えるときの「さて」です。
haven’tを見て現在完了形と思いきや後ろに動詞が無いと思った人、ナイス気づきです。イギリス英語では持ってないを「don’t have~」ではなく、「haven’t~」と言うことがあります。この状況について現代英語語法辞典には以下のように記載されています。
米国では所有のhaveは一般動詞扱いされるが、英国では元来haveが一般的な事柄に用いられる場合には一般動詞扱いされ、特定的な事柄の場合には変則動詞扱いされていた。
Do you often have colds?(よく風邪をひきますか?)[一般的]
You haven’t a cold now, I hope.(風邪を引いていなかったらいいのですが)[特定的]
しかし、米国の影響でこの区別があまりされなくなり、英国でも一般動詞扱いが普通になってきている。次のような「怒り」や「悲しみ」のような感情が表される脈路では変則動詞としてのhaveが顕著に見出される。
Now beat it! I haven’t any time to waste.(行っちまえ。お前なんかにくれてやる時間はないんだ。)
引用元: 現代英語語法辞典(三省堂)
つまり、感情的になったときに変則動詞のhaveを聞けることがありそうです。
The time! The time! Who’s got the time?
三月ウサギ「時間!時間!誰が時計を持っている?(誰が時間が分かる?)」
疑問代名詞のwhoを使った疑問文です。
⇒「疑問代名詞とは」
Who’sは「Who is」ではなく「Who has」の略です。つまり、このセリフは現在完了形です。
⇒「現在完了形とは」
このセリフのhave gotはhave(持っている)と同じ意味です。haveと言っても意味は通じますが、have gotも多く使われるので覚えておきましょう。そういえば、ドアノブが鍵を持っていることをyou’ve got the key.と言っていましたね。
⇒「You’ve got the keyのシーン」
時刻を知りたいときの聞き方は学校では「What time is it?」と習ったと思いますが、実際は以下のように聞く人が多いです。
Do you have the time?
直訳すると「時間を持っている?」となりますが、この文のthe timeは「時間を把握できるもの持っている?」=「今何時か分かる?」というニュアンスになります。
No, no, no, no. No time, no time, no time. Hello. Good-bye. I’m late. I’m late.
白ウサギ「いや、いや、いや、いや。時間無い、時間無い、時間無い。こんにちは。さようなら。遅刻だ。遅刻だ。」
The White Rabbit!
アリス「白いウサギ!」
Oh, I’m so late. I’m so very, very late.
白ウサギ「あー、とても遅れている。とてもとても遅れている。」
Well, no wonder you’re late.
帽子屋「まあ、君が遅刻するのも無理はない。」
このセリフは主語+述語動詞のIt isが省略されています。私たちは肯定文の英語は必ず「主語+動詞~」から話が始まると習いましたが、実際は主語を省略して話す人が結構います。特に、Itやthatなどハッキリと言い表さなくてもいいものが省略されることが多いです。
no wonder~は「~も無理はない」という意味です。
何も省略しない場合は以下の形式主語の文になります。従位接続詞のthatを使った名詞節が真主語です。ただし、このセリフのthatは省略されています。
⇒「形式主語とは」
Well, itisno wonderthat you’re late.
Why, this clock is exactly tow days slow.
帽子屋「おや、この時計はちょうど二日遅れている。」
whyは疑問詞ではなく間投詞です。驚きや承認を表したり、「えっと」のように考えているときの表現に使います。
通常、時計が遅れているときはslow、進んでいるときはfastを用いて表現します。
This clock is a little slow. 「この時計は少し遅れている」
This clock is a little fast. 「この時計は少し進んでいる」
Two days slow?
白ウサギ「二日遅れている?」
ミスターラビット混乱しています。針時計なので二日ちょうどなら時刻自体は狂ってないような気がします。
Course you’re late. Hahaha.. My goodness.
帽子屋「当然、遅刻だ。ははは、、おやおや」
courseはof courseのofを省略したもので「当然、もちろん」という意味です。話し言葉で使われます。
goodnessはgodの遠回しの表現です。godと直接言うのは神に失礼にあたるとしてgoodnessと言う人がいます。なので、「Oh my god」と「Oh my goodness」は同じ意味です。
時計をお茶につけてしまいましたね。(・□・;)
We’ll have to look into this.
帽子屋「中を見てみなくてはいけないだろうな。」
このセリフのlook into~は「~の中を見る」という意味です。
have to~は「~しなければならない」という意味です。