不定代名詞「any」の使い方。個々の物体に着目しながら「どれも~」を表現する。
本記事では不定代名詞「any」について説明します。anyは「どれも」を表現する代名詞です。
どれも「any」
anyの語法についてはgoo辞書に以下のように記載されています。
goo辞書「any」
any は,「任意のものを任意の数だけ,自由に選択する」ことを意味し,その指示物の存在を前提としない.
以下の英文を読んで下さい。
You can eat anyof the apples. 「あなたはどのリンゴも食べてもいい。」
好きな形のリンゴ1個を選んで食べてもいいし、お腹が減っていたら全部食べてもいい。つまり、好きなものを好きなだけ選んで食べていいイメージになります。
any「どれも」に似た意味の単語にevery、all「すべて」があります。先ほどの英文のsomeをallに変更すると以下になります。
You can eat all of the apples. 「あなたはすべてのリンゴを食べてもいい。」
一見同じことを言っているように見えますが、allの文には好きなものを好きな数だけ選択するというニュアンスが含まれません。「好きなのを選んで食べてね。」ではなく「全部食べてもいい。」と全体に意識が向いています。
everyは形容詞用法しかないので、先ほどの英文をeveryを使って表すと以下のようになります。
You can eat every apple. 「あなたはすべてのリンゴを食べてもいい。」
現代英語語法辞典ではany、all、everyについて以下のように記載されています。
・肯定文で用いられた any は「どれでも、だれでも」の意味で all や every と交換可能
・any は1度に1つ[1人]ずつ考慮に入れ、every は全部をまとめて考慮に入れる点でallにより近い。
・every は現実性(実際にある対象が存在する)、any は可能性(仮にある対象が存在するとすれば)を表すと言われる。引用元: 現代英語語法辞典(三省堂)
肯定文ではany、all、everyを置き換えて使えるようですが、ニュアンスの違いがあるので把握しておきましょう。以下の英文を読んで下さい。
Any apple was cultivated by Pit. 「どのリンゴもピットによって栽培された。」
anyは全体をイメージせずに、物体を1つずつ着目する表現なので単数形で表現します。リンゴを1個選んでみたら栽培者「ピット」、別の1個を選んでみたら栽培者「ピット」、別の1個も「ピット」、結果的にどのリンゴを選んでも栽培者「ピット」というイメージです。
Every apple was cultivated by Pit. 「すべてのリンゴはピットによって栽培された。」
everyは全体をイメージしながら、個々の物体に着目する表現なので単数形で表現します。すべてのリンゴたちを把握した上で、並び順に「栽培者ピット!」、「栽培者ピット!」、「栽培者ピット!」とダーっと見て行き、結果的に全部ピット!となるイメージです。
All apples were cultivated by Pit. 「すべてのリンゴはピットによって栽培された。」
allは全体をイメージして、個々の物体には着目せずに全体としてとらえるので複数形で表現します。「このリンゴたち全部、栽培者ピット!」。
否定文「どれも~ない」
以下の英文を読んで下さい。
You can eat anyof the apples. 「あなたはどのリンゴも食べることができる。」
これを否定文にすると以下の文になります。
You cannot eat anyof the apples. 「あなたはどのリンゴも食べることができない。」
肯定文でも否定文でも対象が「どのリンゴも」にかかっているので把握しやすいですね。
次に、以下の英文を読んで下さい。
There are some apples on the floor. 「床にいくつかのリンゴがあります。」
これを否定文にすると以下になります。
There aren’t any apples on the floor. 「床には少しもリンゴがありません。」
このように、「いくつかある」のsomeの肯定文を「何もない」という否定文にするときはsomeをanyに変えた文を作ります。
1つ注意点があり、肯定文のanyでは「any + 単数形」としますが、疑問文、否定文では「any + 複数形」にします。
理由は、肯定文では個々の物体に着目する表現なのに対し、疑問文、否定文では着目する物と数量がはっきりしていないからと筆者は考えています。
疑問文「何か少しでも」
以下の英文を読んで下さい。
You can eat anyof the apples. 「あなたはどのリンゴも食べることができる。」
これを疑問文にすると以下の文になります。
Can you eat anyof the apples? 「どれか1つでもリンゴを食べられる?」
素直に考えたら「どのリンゴも食べられますか?」のような訳になりそうですが、疑問文にすると、とにかく少しでもという気持ちが入ることで「何か少しでも」という意味になります。
anyって結構曲者ですね。。