仮定法の使い方。現実ではないことに対して「もし~なら、…なのになぁ」を表現する。
本記事では仮定法について説明します。
仮定法とは、現実ではないことに対して「もし~なら」という表現で現実であると仮定することをいいます。
If I were rich, I would buy an apple bath.
「もしお金持ちだったら、リンゴ風呂を買うのになあ。」
上記文は、今現在お金持ちではないけど、もしお金持ちだったらと仮定している文です。このように仮定法はif文を使って表現します。
通常のif文と仮定法のif文は違うので注意しましょう。通常のif文は有り得ることについての条件文ですが、仮定法のif文は、有り得ないことが起こったと仮定する条件文です。
以下は通常のif文の例です。
If it rains tomorrow, I will take an umbrella.
「もし明日雨が降ったら、私は傘を持っていくでしょう。」
いまを仮定する
実際に仮定法の文を作ってみましょう。
(A)I am rich. 「私は金持ちだ。」
(B)I will buy an apple bath. 「私はリンゴ風呂を買うでしょう。」
仮定法では、いまこの瞬間を仮定するのに現在形ではなく過去形を使います。過去形を使う理由は、助動詞の過去形と同じように、距離感を演出するイメージです。「距離がある=実現していない」みたいな⇒「助動詞canとは」
まずAの頭にifを置き、動詞を過去形にして以下の文にします。
If I was rich.
Bの文も同じように過去形にして、Aの後ろにくっつけて完成です。
If I was rich, I would buy an apple bath.
「もし金持ちだったら、リンゴ風呂を買うのになあ。」
実は、if文のbe動詞はwereが良く使われます。主語が1人称や3人称であってもwereを使って以下のように表現します。
If I were rich, I would buy an apple bath.
「文法無視の動詞の変化形やめろー!」
と言いたいところですが、別の視点で考えると、主語の人称と合わないbe動詞の過去形が現れたときは仮定法の文であることがすぐわかるという利点があります。なので、逆に利用してやりましょう。
主節(Bの文)の助動詞にはwillの他にcanやmayがよく使われます。
If I were rich, I could buy an apple bath.
「金持ちだったら、リンゴ風呂が買えたのになぁ」
If I were rich, I mightbuy an apple bath.
「金持ちだったら、リンゴ風呂を買ったかもしれないなぁ」
過去のことを仮定する
過去のある時点について「あのとき~だったらなぁ」を表現するには動詞を過去完了形にします。以下の英文を読んで下さい。
(A)I got up early yesterday.「私は昨日早く起きた。」
(B)I could buy an apple cheaply.「私はリンゴを安く買うことができた。」
上記2つの文を接続詞ifでつなげて仮定法の文にしてみましょう。まずAの頭にifを置き、動詞を過去完了形にして以下の文にします。
(A)If I had gottenup early yesterday.
Bの文も同じように動詞を過去完了形にして、Aの後ろにくっつけます。助動詞がすでに過去形なのでhaveをつけて以下の文になります。
If I had gottenup early yesterday, I could have bought an apple cheaply.
「昨日早く起きていたら、リンゴを安く買うことができたのになぁ。」
未来のことを仮定する
未来について「もし~なら」を表現するには、動詞を「were to 動詞の原形」か「should 動詞の原形」に変更します。以下の英文を読んで下さい。
(A)Apples come down from the sky tomorrow. 「明日リンゴが空から降ってくる。」
(B)I will not need to buy an apple anymore. 「私はもうリンゴを買う必要はない。」
上記2つの文を接続詞ifでつなげて仮定法の文にしてみましょう。まずAの頭にifを置き、動詞を「were to 動詞の原形」にします。
(A)If apples were to come down from the sky tomorrow.
Bの文を過去形にして、Aの後ろにくっつけます。
If apples were to come down from the sky tomorrow, I wouldn’t need to buy an apple anymore.
「もし明日リンゴが空から降ってきたら、もうリンゴを買う必要はない。」
shouldは確率は低いけど万が一起きた場合を表現するときに使います。
If his apple should be stolen, he could not live.
shouldは「リンゴが空から降ってくる」みたいな万が一にもありえない仮定には使えません。言い換えると、100%ありえない未来のことを仮定するならwere toを使うということです。覚えておきましょう。
ちなみに、shouldといえば「~すべき(義務)」、「~のはず(確信)」の意味を追加する助動詞です。混乱しそうで腹が立ってきますね。shouldの近くにifがいたら仮定法ではないかと疑うようにしましょう。⇒「助動詞shouldとは」
ifは省略できる
ifと過去形または過去分詞形がセットであることで「仮定法かも」と予測することができますが、何と、このifは省略されることがあります。。
省略した仮定法の文を作ってみましょう。以下の英文を読んで下さい。
If I wererich, I would buy an apple bath.
「もしお金持ちだったら、リンゴ風呂を買うのになあ。」
ifを省略する場合は、動詞と主語の位置を入れ替えて以下の文にします。
WereI rich, I would buy an apple bath.
2つの文がカンマを挟んで、接続詞無しでつながれているので「仮定法かも」と予測できます。ただし、日常会話ではifの省略は使われません。英文を読んでいるときにこの形に出会ったら驚かずに仮定法でないかと疑いましょう。
if文に助動詞がある場合は、助動詞と主語の位置を入れ替えます。
HadI gotten up early yesterday, I could have bought an apple cheaply.
「昨日早く起きていたら、リンゴを安く買うことができたのになぁ。」
I wish「~だったらなあ」
上記までは「もしAだったら、Bだったのになぁ」という仮定から結論まで述べていますが、「Aだったらなぁ」とか「Aすればよかったなぁ」のような仮定のみで願望を表現したいときがあります。そんなときにwishを使います。
以下の英文を読んで下さい。
(A)I wish. 「私は願う。」
(B)I am good at English. 「私は英語が得意だ。」
wishは現在形のままで、仮定するBの文を過去形にして以下の文にします。
I wish I were good at English. 「英語が得意だったらなぁ。。」
英語が得意だったら何なのかの結論(外国人と話せる?海外旅行が楽しい?)は分かりませんが、本人の願望が伝わってきます。「いまこの瞬間を仮定するのに過去形を使う」「過去のある時点について"あのとき~だったらなぁ"と仮定するには過去完了形を使う」ルールはif文の仮定と同じです。
「あの時~だったらなあ」の文を作ってみましょう。
(A)I wish. 「私は願う。」
(B)I didn’t eat too much. 「食べ過ぎなかった。」
wishは現在形のままで、仮定するBの文を過去完了形にして以下の文にします。
I wish I hadn’t eaten too much. 「食べ過ぎなければよかったなぁ。。」
もちろん、肯定文の仮定も普通に作れます。
I wish I had eaten more. 「もっと食べればよかったなぁ。。」