TOEICのリスニングに使われる単語の傾向を確認する
TOEICに出題される話題
TOEICに出題される話題は日常生活や仕事に関するものです。物語や論文のような内容が読まれることはないです。
リスニング部門の話者は大人の男女で、子供や高齢者が話者として登場することはないです。また、笑い話をしたり、喧嘩したり、泣くこともなく、すべての話者は冷静に淡々と話をします。
感情を表に出しながら口論したり、恋人たちが愛を語り合ったり、冗談を言って笑いを誘うような展開があると面白いと思うので、今後のTOEICの進化に期待しましょう。
話者の発音はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの4つのタイプがありますが、私には聞き分けることができません。。というか、どれも普通の英語として聞こえるので発音の違いを意識する必要はないのではないかと筆者は考えています。
日常生活ではショッピングやレストランなど外出先での話題が多いです。仕事は事務、開発、運送、広報などさまざまな話題が扱われますが、仕事の深い内容が語られることはないので、その仕事について詳しくなくても話題についていけます。
出題される単語の傾向
日常生活と仕事では、仕事の話題の比率が圧倒的に多いです。仕事の計画や進捗について話し合ったり、会議で報告したりします。また、顧客相手に商品の紹介や注文受付を行うこともあります。
それゆえに、必然的に仕事に関係する単語が多く掲載されることになります。確かに、TOEICの受験者は試験結果をビジネスに役立てようとする人が多いので、出題も目的に則したものになっているということですね。
では、具体的にどのような単語がよく出題されるのでしょうか。それを確かめるために公式問題集の単語数を集計しました。今回はリスニングで使われる単語の集計結果を報告します。
使用した問題集は「TOEIC公式問題集1(2016年10月発売)」と「TOEIC公式問題集2(2017年2月発売)」の2冊です。本来はあと2、3冊は集計対象にしたかったところですが、時間の都合上、この2冊(TOEIC4回分)にしました。
集計結果の全単語は次のページを見て下さい。⇒「リスニング単語の集計結果」
なお、リスニング(聴く)はリーディング(読む)よりも単語の難易度が低いです。聴き取る能力の判定に重点がおかれているためと考えられますが、そうとえいども、やさしい単語ばかりではないです。
それでは、まずは掲載回数の多かった単語トップ10を見てみましょう。
順位 | 単語 | 掲載回数 |
---|---|---|
1 | a | 1025 |
2 | the | 1019 |
3 | to | 611 |
4 | is | 472 |
5 | I | 434 |
6 | do | 352 |
7 | you | 320 |
8 | have | 268 |
9 | of | 251 |
10 | what | 231 |
栄冠の第1位、第2位は冠詞が断トツとなりました。冠詞とは、名詞が示している物の特定状況を表現するために、名詞の前に置くaやtheの単語のことです。冠詞という名に相応しい結果ですね。
3位はbe動詞や人称代名詞(I、Youなど)がくるかと予想していましたが、toがきました。toは方向を示す前置詞として使われる以外に、不定詞を作るのにも使われます。
そして、10位には疑問代名詞のwhatがきました。what以外の5W1H(when、where、who、what、why、how)の単語順位は下表のようになっています。whatの掲載回数と大きな差があるので、「何~?」という質問がいかに多いかが分かります。
順位 | 単語 | 掲載回数 |
---|---|---|
58 | how | 46 |
59 | when | 45 |
70 | why | 38 |
86 | who | 34 |
104 | where | 27 |
11位以降も英語を勉強したことのある人なら誰でも知っている単語が続きます。注目なのは42位のcompanyです。何と、knowやtakeなどのよく使われる単語よりもcompanyの方が使われている回数が多いです。companyは「仲間、同僚」の意味で使われることもありますが、TOEICでは「会社」という意味で使われることが多いです。
このように、companyの掲載回数の多さからも、仕事関係の話題が多い状況がわかります。
順位 | 単語 | 掲載回数 |
---|---|---|
42 | company | 58 |
そして、誰でも知っている基本単語が続く中、70位を越えたあたりから以下の単語が現れ始めます。officeは「事務所」、productは「製品」、businessは「仕事」、orderは「を注文する」、trainは「を訓練する」です。すべて仕事の話題でよく使われる単語です。
ひょっとすると、productの意味が曖昧だった人がいるかも知れませんが、TOEICではめっちゃ出てくるので覚えておいて下さい。trainは列車よりも、「研修(training)」という意味で使われることが圧倒的に多いです。新入社員や異動した社員に対する研修について話すときに使われます。
つまり、仕事に関係する単語がバンバン出てくるので、単語はそれを中心に覚えるのが効率的ということが分かります。
順位 | 単語 | 掲載回数 |
---|---|---|
75 | office | 37 |
78 | product | 36 |
79 | business | 35 |
81 | order | 35 |
83 | train | 35 |
さらに、誰でも知っている基本単語が続く中、下表の単語が現れ始めます。仕事関係の予定についての話し合いが多そうなのが分かります。bookは「本」という意味よりも「~を予約する」という意味で使われることが圧倒的に多いです。
listenerは設問で使われることが多いです。Aさん(話し手)とBさん(聞き手)が話す音声が流れたあと、Bさんのことをlistenerと表現して問題が出されます。
例)Why does the speaker asked the listeners?
「なぜ、話し手は聞き手に尋ねたのですか?」
順位 | 単語 | 意味 | 掲載回数 |
---|---|---|---|
87 | plan | ~を計画する | 33 |
88 | store | 店 | 33 |
99 | staff | 職員 | 29 |
106 | listener | 聞き手 | 26 |
108 | schedule | スケジュール | 26 |
110 | information | 情報 | 25 |
114 | book | 予約する | 24 |
115 | customer | 顧客 | 24 |
ランキング上位の100超えの単語に比べたら掲載回数20回は少ないと感じますが、1回の試験につきリスニングの箇所だけで平均5回も使われているのはむしろ多いです。まだまだ「よく見かけるなぁ」と思うレベルの単語が続きます。
公式問題集を解いて何回も遭遇しているうちに、そのうち日本語の意味を考えずに意味を感じ取ることができるようになるでしょう。
下表は120位~160位の基本単語以外の単語です。筆者はavailable「利用できる」という単語が分かったようで分からないでハマりましたが、公式問題集を解いているうちに完璧に把握しました。
interviewは著名人などにインタビューするという意味で使われますが、それよりも、会社の採用試験の「面接」という意味で使われることが圧倒的に多いです。
順位 | 単語 | 意味 | 掲載回数 |
---|---|---|---|
122 | web | webサイト | 24 |
131 | graphic | 図 | 22 |
132 | manager | 管理者 | 22 |
133 | problem | 問題 | 22 |
134 | project | 企画 | 22 |
140 | available | 利用できる | 21 |
152 | conference | 会議 | 19 |
156 | interview | インタビュー、面接 | 19 |
159 | provide | ~を提供する | 19 |
基本単語がまだまだ続く中、仕事でよく使われる単語がどんどん増えていきます。下表は160位~200位の基本単語以外の単語です。
designと聞くとグラフィックなどのデザインのようなイメージがありますが、「設計」の意味でもよく使われます。
日常会話で「買う」といえばbuyですが、仕事などのフォーマルの場ではpurchase「購入する」を使います。良く出てくるので覚えておきましょう。
featureは名詞で使う場合は「特集」、動詞で使う場合は「~を特集する」や「~を出演させる」という意味でよく使われます。
順位 | 単語 | 意味 | 掲載回数 |
---|---|---|---|
162 | employee | 従業員 | 18 |
167 | design | ~を設計する | 17 |
173 | build | ~を建てる | 16 |
174 | computer | コンピュータ | 16 |
175 | delivery | 配達 | 16 |
177 | purchase | ~を購入する | 16 |
181 | appointment | 予約 | 15 |
182 | attend | ~に参加する | 15 |
184 | feature | 機能、特徴、特徴づける | 15 |
201 | budget | 予算 | 14 |
色々な状況で使えそうな単語が出てきますが、全部は説明しきれないので、意味が曖昧だと回答に支障をきたす恐れがありそうな単語をいくつか下表に載せておきます。確実に覚えておきましょう。
mentionは「~を述べる」という意味です。「メンタル」と「ション」という響きからめそめそしたり、心配しているようなイメージを持ってしまいそうですが、そのようなニュアンスはありません。
caterはcateringという単語でよく出てきます。ケータリングは日本人にはあまり馴染みのない言葉ですが、パーティー会場などに行って、料理を作って提供することを言います。catering companyと聴いて、「携帯会社」と思わないようにしましょう。
supervisorは「上司」のことです。バイヤー(買い手)ではないです。
英語のpamphletは案内書や説明書という意味ですが、日本人がよく言う旅行ツアーや映画のパンフレットはbrochureです。
順位 | 単語 | 意味 | 掲載回数 |
---|---|---|---|
224 | mention | ~を述べる | 13 |
252 | advertise | ~を宣伝する | 11 |
256 | confirm | ~を確認する | 11 |
279 | colleague | 同僚 | 10 |
289 | package | 梱包 | 10 |
293 | renovation | 改修 | 10 |
309 | cater | 料理を提供する | 9 |
367 | reservation | 予約 | 8 |
411 | refund | 返金 | 7 |
417 | supervisor | 上司 | 7 |
443 | conduct | ~を実行する | 6 |
439 | brochure | パンフレット | 6 |
このように、仕事に関係する単語の中でも良く使われるもの、たまに使われるものなど様々です。リスニングの全単語の集計結果を上から順番に確認して、どこまで意味がすんなり把握できるかを力試ししてみるのもいいと思います。
⇒「リスニング単語の集計結果」
ただし、集計結果を単語帳にして「単語⇔意味」で覚えるのではなく、公式問題集の英文を読む流れの中で単語の意味を理解、覚えるようにして下さい。そのほうが記憶の定着がいいです。
まとめ
TOEICは仕事に関係する話題が大半です。なので、必然的に仕事に関係する単語が多く登場します。
リスニングの全単語の集計結果を上から読んで、仕事関係の単語が多いことの確認と、どれくらい意味が分かるか力試ししてみましょう。単語は「単語⇔意味」で覚えるのではなく、公式問題集の英文を読む流れの中で覚えたほうが記憶の定着がいいです。